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これからの住宅に耐震等級3は必須条件!? 「他社の耐震等級比較」と「耐震性が不可欠な理由」とは

これからの住宅に耐震等級3は必須条件!?

住宅金融支援機構が行った、一般消費者向けのアンケートによると、

1位 耐久性

2位 耐震性

3位 省エネルギー性

4位 遮音性

5位 通風・換気性

6位 劣化対策

7位 防犯性

8位 耐火性

9位 バリアフリー性

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 『耐震性』は常に上位にランキングされていて、

需要が高いキーワードであるといえます。

 

自身の多い日本では、当然のことかもしれません。

多くのハウスメーカーでも耐震性に力をいれています。

 

私も、耐震性能は重視するべきであると考えています。

人の命に係わる重要なポイントです。

「耐震等級1」でOKな日本の実情

今の日本では、「耐震等級1」であれば法律に適合しています。

しかし、平成28年4月に起きた熊本大震災では「耐震等級1」の住宅の

倒壊や半壊が報告されています。

 

地震は日本国内どこでも起こる可能性があります。

せっかく家を建てても、地震に怯えて暮らすなんて不幸すぎます。

 

これが、私が「耐震性」が重要と考える理由です。

 

未だ「耐震等級1で設計している方」又は「今計画している建物の耐震等級が不明な建て主様」は、見直してみて下さい。

 

今回は、これからの住宅には「耐震等級3」が必須である理由について考えていきます。

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 耐震等級3が必須である理由

【理由1】長期優良(耐震等級2)でも倒壊??

まずは、この動画をご覧ください。


09.10.27 E-ディフェンス公開実験

 

Eディフェンスという施設で2009年10月に実施された実験の映像です。

Eディフェンスとは、兵庫県にある施設です。

 

実験対象は、在来工法で建てられた

『普通の木造住宅(耐震等級1)』『長期優良住宅(耐震等級2)』です。

 

画面の手前に見えるのが『耐震等級1の木造住宅』

奥に見えるのが『長期優良住宅(耐震等級2』です。

 

なんと、耐震等級2でも倒壊してしまいました

(手前の「普通の木造住宅」は、柱脚部が抜けてロッキング現象となった為

倒壊を免れたそうです。)

たまたま、柱脚部が抜けたことで倒壊していなかっただけなので

倒壊していてもおかしくありません。

 

長期優良住宅が倒壊した理由は、

120mm角の柱に梁がささる部分(柱の断面欠損ができる部分)

が折れたことが原因のようです。

 

つまり、長期優良住宅に認定された木造住宅でも倒壊する可能性があります。

 恐ろしい話です。

 

 

【理由2】熊本地震からみる損傷度の実績

平成28年4月に起きた熊本大震災の際の状況をまとめたデータがあります。

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出典:一般社団法人くまもと型住宅生産社連合会(パンフレット:耐震等級3のススメ)より

これは、「一般社団法人くまもと型住宅生産者連合会」のデータです。

くまもと型住宅生産者連合会:熊本地震復興支援くまもと型住宅先導プロジェクト執行団体


損傷ランクごとに、損傷比率を表していますが、

特に注目する点は、2000年以降に建設された建物でも、わずかですが倒壊が見られる点です。

「耐震等級3」であった住宅は、「損傷ランクⅡ(小破)」以下であることがわかります。

 

実際のデータからも、「耐震等級3が倒壊しにく」ということがわかります。

 

 

【理由3】各ハウスメーカーの耐震等級比較 

 ここは、設計従事者やハウスメーカー向けですが

「耐震等級3」でない時点で、

お施主様の選定候補から外れる可能性について考えます。

 

下の表は、住宅メーカーの耐震等級をまとめた表です。

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住宅着工数が多い積水ハウスや一条工務店をはじめ、

大手ハウスメーカーは「耐震等級3」です。

 

この「耐震性の安心感」が、

大手ハウスメーカーが選ばれる理由であり、

逆に中小工務店が敬遠される理由であるデータもあります。

 

逆の見方をすれば、

中小工務店でも「耐震等級3相当の性能」というメリットが、

他社との差別化に繋がりそうです。

 

 

【おススメの方法】許容応力度計算による構造検討

安全な構造を計画する為には、「許容応力度計算」による構造検討が最適であると考えます。

建築基準法の仕様規定を満たした住宅でも、計算をかけると計算上エラーがでるケースが少なくないそうです。

 

「許容応力度計算による構造検討法」記事準備中です。

 

 

さいごに

Pointのおさらい

【理由1】長期優良(耐震等級2)でも倒壊する実験データ

     等級2では、不十分な現状

【理由2】熊本地震からみる損傷度の実績

     等級3は損傷度が低かった実績

【理由3】各ハウスメーカーの耐震等級比較

     耐震性の安心感と受注の関係性がある

 

以上が、これからの住宅に耐震性能が必須であると考える理由です。

より多くの方が、長く愛用される住宅を手に入れて頂けることを願っております。

 

 

★☆☆☆彡

最後まで閲覧頂きまして、

ありがとうございました。m(_ _)m 

 

この記事を書いた人

 

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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』

★「職人」から「建築士」へ 

   施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。

2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。

退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。

実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。

 

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