単位床面積あたりの概算値から設備規模を把握する!
今回は前回途中で終わってしまった、
空調設備の「単位床面積あたりの冷暖房負荷」の続きとして
「単位床面積あたりの冷暖房負荷(概算値)の求め方」を紹介します。
概算値を把握するメリットは、
「空調設備の規模」と「電気設備の容量」を推定することができます。
基本計画時に設備の規模が推定できると、
「室外機のスペースの検討」
「室内スペース・割付の検討」
「電気設備の容量(キュービクルが必要か否か?)」
などの設備計画を前もって検討することができます。
すなわち
「プロジェクトのスムーズな進行」
「設計者自身の時間の確保」
「意匠設計者のレベルアップ」
につながります!
このブログで紹介する内容は、慣れてくれば10分くらいでこなすことが可能です。
(ブロジェクトの大きさにもよりますが・・・・)
「プロジェクトの進捗が思うようにいかない。」
と悩んでいる方も是非お試しください。
【手順1】部屋の用途から空調負荷の目安を設定する
最初の手順は、部屋の用途から冷房・暖房負荷を選定します。
冷房・暖房負荷は、下の表から選びます。
部屋の用途別空調負荷の目安(HASS109改訂案より引用)
事務所
事務室 最上階:(冷房)140〜170 kcal/m2・h
(暖房) 140 kcal/m2・h
事務室 中間階:(冷房)110〜150 kcal/m2・h
(暖房) 140 kcal/m2・h
会議室 最上階:(冷房) 240 kcal/m2・h
(暖房) 240 kcal/m2・h
会議室 中間階:(冷房) 220 kcal/m2・h
(暖房) 210 kcal/m2・h
応接室 最上階:(冷房) 170kcal/m2・h
(暖房) 180 kcal/m2・h
応接室 中間階:(冷房) 150 kcal/m2・h
(暖房) 160 kcal/m2・h
銀行
営業室 客溜:(冷房) 220 kcal/m2・h
(暖房) 210 kcal/m2・h
応接室:(冷房) 180 kcal/m2・h
(暖房) 150 kcal/m2・h
女子ロッカー室:(冷房) 160 kcal/m2・h
(暖房) 140 kcal/m2・h
デパート
1階売り場:(冷房) 350 kcal/m2・h
(暖房) 210 kcal/m2・h
売り場:(冷房) 210 kcal/m2・h
(暖房) 120 kcal/m2・h
特売場:(冷房) 310 kcal/m2・h
(暖房) 170 kcal/m2・h
スーパーマーケット
食料品:(冷房) 230 kcal/m2・h
(暖房) 200 kcal/m2・h
衣料品:(冷房) 220 kcal/m2・h
(暖房) 170 kcal/m2・h
ホテル
宴会場:(冷房) 420 kcal/m2・h
(暖房) 330 kcal/m2・h
客 室:(冷房) 140 kcal/m2・h
(暖房) 180 kcal/m2・h
レストラン
客室:(冷房) 260 kcal/m2・h
(暖房) 230 kcal/m2・h
バー
客室:(冷房) 270 kcal/m2・h
(暖房) 200 kcal/m2・h
公民館
研修室:(冷房) 230 kcal/m2・h
(暖房) 240 kcal/m2・h
図書館
閲覧室:(冷房) 140 kcal/m2・h
(暖房) 130 kcal/m2・h
病院
病 室:(冷房) 130 kcal/m2・h
(暖房) 160 kcal/m2・h
劇場
客 室:(冷房) 440 kcal/m2・h
(暖房) 230 kcal/m2・h
ロビー:(冷房) 210 kcal/m2・h
(暖房) 220 kcal/m2・h
・これらは概算値になるので、最終的には、設備設計者による詳細負荷計算を実施して容量を決定します。詳細負荷計算と負荷容量が異なることがあります。
・部屋の位置する方角や窓開口率、壁や窓サッシの断熱性能によって影響します。
【手順2】部屋面積と負荷の目安から計算する
【計算例】事務室 中間階で120m2の事務室の概算空調能力を検討
上記の表から、部屋用途に対応した目安の負荷を確認しました。
(冷房)110〜150 kcal/m2・h (暖房) 140 kcal/m2・h
上の写真のように、概算負荷能力から空調機を選定します。
計算式
計算式:部屋面積(m2) × 概算負荷 (kcal/m2・h)
120(m2)× 140(kcal/m2・h) =16,800(kcal/m2・h)
÷ 860 (kw換算の為)
= 19.53(kW)
= 19.53(kW) × 1.2 (安全率)
=23.436(kW)
よって、23.44(kW)を空調負荷として設定しました。
【手順3】空調負荷からエアコンを選定する。
事務所なので、天井カセット型(4方向)を選択しました。
↓↓ 【ポイント】室用途別 室内機の選び方
続いて、各メーカーの空調機カタログの「機器能力表」を確認し、
負荷に適した型式を選定します。
P224形(8馬力)を選定できました。
エアコンが選定できたので、
「照明器具などの天井割付」
「室外機の位置」
「PSの位置」
等を、基本設計時に一緒に検討できます。
本ブログでは、『設備設計やってみようシリーズ』を立ち上げました。
随時記事を増やしていきますので、お時間があれば合わせてご覧下さい。
さいごに
今回は、空調設備の冷暖房負荷の概算値を求めて、
設備の規模を把握する方法を紹介しました。
私自身、計画の初期段階で、
「空調整備の規模」「電気設備の容量」を把握する為に実践しています。
注意点として、
概算で求めた能力よりも詳細設計で求めた値の方が小さくなるケースが多いので、
最終的には詳細な負荷計算により空調機選定を実施して下さい。
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このブログの紹介
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ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
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