建物の自重や地盤の状況によって採用される基礎の仕様が異なります。
建物や地盤の状況に応じて基礎を選定して、計画を進めます。
基礎とは?
基礎は、上部構造からの力を地盤に伝える役割をもち、安定した安全な建物とする上で重要な構造部材です。
基礎形状は、計画地の地盤状況により異なります。有効な地盤(支持層)が地中深くあるか、浅いかで分かれてきます。また、各基礎形状も地盤の特性によって細分化されます。
直接基礎
直接基礎とは、その名の通り建物の基礎が直接支持する基礎です。
建物の自重が比較的軽く、建物の荷重を支えるのに適した支持地盤が浅い場合(深度0m〜3m程度)に直接基礎が採用されます。
RC造のラーメン構造の場合、柱から建物重量を地盤に基礎で直接支持するので合理的であり経済的です。地盤支持力が小さくなるほどお、独立基礎の底面積が大きくなり、地中梁の下に連続的に配置した布基礎としたり、建物全体を一帯の基礎としたべた基礎が用いられます。
杭基礎
杭基礎とは、軟弱な地盤で、支持力が深い場合、杭を打ち込み建物を支える基礎です。
杭基礎は支持方式によって支持杭と摩擦杭に分けられます。
支持杭では先端を支持層に到達させて、杭の先端に働く先端支持力によって荷重を支えます。
摩擦杭は、先端を支持層まで到達させず、杭の側面を地盤との間に働く周面摩擦力によって荷重を支える工法で、支持層が深い場合に採用されます。
PHC杭について
一般名称は、「プレボーリング拡大根固め工法」と呼ばれています。
掘削攪拌装置により地盤を掘削攪拌し、所定の深度まで泥土化させた掘削孔を作ります。支持層深度付近において根固め液を注入して拡大した根固め球根を造り、続いて杭周固定液を注入してソイルセメント状の掘削孔を造成します。
その後、杭を埋設して所定の深度に杭を設置する高い支持力を得ることができる工法です。
工法の特徴
- 砂質地盤、礫質地盤、粘性土地盤に適用できる
- 水平力の大きさに応じて杭材の設定が可能
- 杭材に節杭を使用することで、中間層の摩擦に期待した摩擦杭とすることが可能
- 先端支持に期待する先端支持杭では中間層が液状化する地盤でも対応できる
- 工場製作製品のため、材料品質が確保される
場所打ち杭について
ドリリングバケットを回転させて地盤を掘削し、バケット内部に収納された土砂を排土し、掘削完了後に鉄筋かごを孔内に建て込みコンクリートを打設します。孔壁の保護は表層ケーシング及び安定液により行います。施工長は最長40m程度です。
工法の特徴
- 大径の施工が可能で高い支持力を持つ杭が施工可能
- 杭の長さを自由に設定できるので、支持層が傾斜している場合に長さが異なる杭の施工にも対応できる
- 残土や泥排水が大量に発生するため、特別な対策を必要とする
- 地中で杭を造成するため、品質の確保が困難
- 大きな砂礫や石があると掘削が困難
- 主に柱軸力が大きくなると中高層建物に採用される
鋼管杭について
鋼管を使用する杭の工法としては、プレボーリング根固め工法や鋼管の中にオーガースクリューを挿入し掘削しながら杭を圧入していく中堀り杭工法、鋼管杭先端などに羽をつけ回転圧入していく回転圧入工法があります。
工法の特徴
- 材料の強度が高いことから、杭の応力が大きい場合に有効
- 鋼管は切断することができるため、支持層の傾斜などの長さの異なる施工にも対応可能
- 中堀り杭工法は、杭がケーシングとなるので、崩壊しやすい地盤の掘削に有効
- 羽根付き鋼管杭の回転圧入工法は、セメントミルクを使用せず、排土がないため残土処理費がほとんどかからない
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この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
計画時のポイントシリーズ