給湯方式どうする!?以外に大きい給湯エネルギーの割合
まず見て頂きたいグラフがあります。
これは、建物が消費するエネルギー消費量の割合をまとめた円グラフです。
オフィス系の場合は、
給湯設備が占める建物エネルギー消費量が全体の0.8%と少ないがわかります。
その一方で、
「空調(熱源+熱搬送)」と「照明設備」のエネルギー消費量が大きいのが分かります。
住宅系の建物の場合、給湯設備が占める建物エネルギー消費量が非常に多く、
全体の3割を占めているのがわかります。
エネルギー消費量が多いということは、光熱費がかかるということです。
効率の良い設備計画が、建主のメリットになります。
すなわち設計者の付加価値となります。
(エネルギーマネジメントには、大手は参入していますが中小企業ではまだまだ少ない分野です。)
温水プールを含むスポーツ施設や温浴施設、老人介護施設などでは、
給湯消費量の割合が住宅と同様に高くなります。
建物の計画において、給湯エネルギーも大切なポイントです。
今回は、そんな給湯エネルギーの一つとして
給湯方式の種類について紹介していきます。
給湯設備とは??
給湯設備とは、その名の通りお湯を作り供給する設備です。
給湯方式には、中央方式と個別方式があり建物用途や給湯箇所などによって選定されます。また、どちらも併用することもあります。
1|中央給湯方式
複数箇所への給湯に対して、1箇所の熱源で湯を沸かして各所に給湯する方式です。
主に、ホテルなどの宿泊施設・高齢者福祉施設などの給湯箇所の同時使用の多い施設(給湯量が多い施設)に採用します。
循環ポンプと循環配管を設けた循環方式が採用されます。
循環方式のメリット
- 設定した給湯温度が保持されやすい
- 出湯時間が短くできる
- 貯湯槽を設けることで、熱源の能力を下げることができる
循環方式のデメリット
配管からの放熱によるエネルギーロスが多くなる
配管長さが長くなるので経済性が低い
- 故障時に使用不可能となる範囲が広い
2|個別給湯方式
給湯箇所それぞれに対して熱源を設ける方式です。
コミュニティーセンター・図書館・事務所ビルなどの湯沸かし室や手洗いなどに採用されます。(給湯の頻度が少ない箇所)
個別給湯方式のメリット
- 給湯配管を短くできるので放熱によるエネルギーロスが少ない
- 故障時に使用不可となる範囲が小さい
熱源のいろいろ
ボイラー
都市ガス、プロパンガス、重油、灯油を燃料とするもので、
給湯能力によって色々な種類があります。
設備機械室などの専用機械室内に設けて、煙突を計画することが多いです。
給湯器
都市ガス、プロパンガス、灯油を燃料とするもので、住宅用をはじめ個別の給湯箇所に用いられます。
厨房や大型の浴槽などの、必要な給湯量が多い箇所には給湯器を複数台連結するマルチ型給湯器が採用されます。
電気温水器
電気ヒーターでお湯を沸かす方式で、主に給湯量の少ない場合に用いられます。
給湯箇所の近くのカウンター下や壁面に設置されます。
主にトイレの手洗いや、事務所ビルなどの給湯コーナーなどに採用される。
ヒートポンプ給湯器
ヒートポンプ給湯器は、エアコンと同様にヒートポンプの原理でお湯を沸かす方式です。ヒートポンプユニットと貯湯ユニットで構成される。エネルギー効率の高い給湯器です。
プチ情報!
給湯設備は、建築基準法で設置基準が定められていますが
約6割の機器が適合していない状況です。
念の為、問題無いか確認してみましょう!
さいごに
今回は、意外に大きい給湯エネルギーの割合として
給湯エネルギー消費量の実情と給湯方式について紹介させて頂きました。
是非、設計中の給湯設備について確認してみて下さい。
本ブログでは、設備設計やってみようシリーズを立ち上げました。
随時記事を増やしていきますので、お時間があれば合わせてご覧下さい。
★☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
計画時のポイントシリーズ