人間の秘密!! 快適さには理由があった! 快適性の尺度「PMV」
私たちが快適・不快と感じるためには6つの要素があります。
今回はその要素に関する記事です。
快適性の尺度である「PMV」を把握して、
空間の快適性を判断できるようになりましょう。
そのポイントを抑えれば、ワンランク上の設計ができます。
「断熱性能・温熱環境」は注文住宅に求める要求事項の
上位にランキングされる大切な項目です。
快適さを決める6つのこと
快適さを決める要素は次の6つです。
温度
気温や室温のこと。
湿度
空気中に含まれる水蒸気量のこと。
多すぎると不快で、カラッとしていると快適です。
気流
空気の動きや風のことです。
プチ情報!【気流の目安】
気密性が良い建物 0.03 m/s
気密性が悪い建物 0.1〜0.15 m/s
放射
電磁波により伝わる熱のことです。
放射は、床や壁、天井などのあらゆる部分から出ています。
気温が適温でも、放射温度が高いと「暑い」と感じることがあります。
【例1】断熱が薄い屋根の場合、
太陽の熱が天井を温め、その熱が放射で伝わる現象があります。
【例2】単板ガラスの西日
私の寝室は、西側に面していて西日が差し込みます。
また、築年数が古いので単板ガラスです。
西日と天井へ蓄熱された熱が放射するので、不快極まりない環境です。
活動量
体を動かす量によって生じる熱量です。
気温が低くても、ランニングすると身体が暑くなる現象です。
着衣量
着ている衣服の種類や量のことです。
快適性の尺度「PMV」とは??
上の温熱6要素を考慮した快適性の尺度があります。
PMVとは??(横軸)
人の温冷感指標の中で最も使用される指標です。
PMVの値の意味
人間が居住する環境を温冷感で、
-3【寒い】
-2【涼しい】
-1【やや涼しい】
0【中立】
+1【やや暖かい】
+2【暖かい】
+3【厚い】
この7段階で表されます。
PPDとは??(縦軸)
PPDとは、その環境で何割の人間が不快に感じるかを表す指標です。
例えば、
PMV「-0.5」の場合、10%の方が「涼しい」と感じる
このような読み方をします。
ISO基準では、PMV「±0.5以内」の温熱環境を推奨しています。
PMVの計算方法
PMVの計算を無料でできるサイトがあります。
↓須賀工業株式会社のページへ
PMVの使い方
実際にPMVを計算してみます。
計算は、「須賀工業株式会社」様のシステムを使わせて頂きました。
下のようなページにいきます。
計算モデル
7/23日 10:00頃 エアコン運転「無」
構 造:鉄骨造-集合住宅 築25年 屋上階角部屋(3面外部)
断熱材皆無、窓アルミ製単板ガラス
気 温:35℃
clo :0.3
平均風速:0.1m/s
相対湿度:70%
計算結果
計算の結果、PMVは「3.1」という数値になりました。
暑いです。体感温度も極めて深いでした。
エアコンを使わないとならない環境であることが証明できました。
このように、PMVを計算することで
空間の温熱環境を判断することができます。
体感温度
気温と風速「リンケの体感温度」
風速1m/秒につき体感温度は1℃下がる。
気温と湿度「ミスナールの体感温度」
気温10℃以上の場合、湿度が上昇するほど暑く感じる
気温10℃以下の場合、湿度が上昇するほど寒く感じる
エアコンを付けた方が良いか?窓を開けた方が良いか?
エアコン28℃設定で窓を閉めている(風速0m/s)場合
温度28℃ 湿度60% 風速0m/s
体感温度 26.0℃
エアコンを止めて、窓を開けた場合
温度30℃ 湿度 70% 風速4m/s
体感温度 25.1℃
比較の条件の場合、
体感温度はエアコンを止めて通風を促した方が体感温度は低いです。
これらをうまく組み合わせれば、
エアコンが無くても涼しく快適に過ごせる環境が作れます。
最近の住宅は、風通しに配慮した計画が一般的です。
★☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
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