【若手建築士の歩き方】将来を担う若手建築士の皆様へ!
今年新卒の方は、だいぶ会社に慣れてきた頃でしょう。
3〜5年目の皆様は、昨年とは違った立場で仕事に取り組まれていると思います。
残念なことに、この時期に退職する方が一番多いそうです。
色々な原因で、設計業界を離れる方がいます。
その度に、
「もったいない。」
「これから建築士には将来性あるのに。」
と残念に思います。
私は35歳で「後輩」と「先輩、上司」の中間に位置する年齢です。
どちらの立場もみえるポジションで、
上司そして後輩の悩みや不満をたくさん聞いてきました。
今回は、「将来を担う若手建築士の歩き方」というテーマで、若手の技術者に向けて記事を書いてみたいと思います。
記事の内容は、マインドセットマインドセット*1についてです。
少しだけ皆様より長くこの業界にいますので、
これまで私の経験を踏まえてお話ができればと思います。
まずは、若手建築士の皆様がどんな悩みをお持ちなのかをみていきましょう。
【実録】若手建築士の悩み
ケース1|技術面の悩み
仕事を覚えられない!
建築の知識がなさすぎて会社に迷惑をかけている。
こんな悩みをよく聞きます。
責任感が強く、仕事に真剣に取り組んでるのですが、
知識が追いつかずに、納期に作業が間に合わない時に先輩や上司に指摘され、
「なんでできないのだろ〜。」と
考えてしまいます。
マインドセットその1
A:最初はできなくて当たり前!能力が最初からある人はいません!
先輩がいるうちにたくさん失敗させてもらっちゃいましょう!
最初から仕事ができる人はいません。できなくて当たり前です。
先輩方もみんな同じです。必ず同じような時期がありました。
なぜ先輩が仕事ができるのか?
その答えは、「経験値」です。
こればかりは、直ぐに埋めることは難しいです。
でも、これから埋めていくことは確実にできます。
私が感じる若手の能力の高さ
私が現場で感じたことですが、若い技術者の方が能力が高いと感じます。
「身体的な面(体が大きい)」「感受性」「パソコン(最新機器)の操作性」「物事の吸収力(柔軟さ)」などなど、
下の世代ほどそれらで秀でた面が顕著にみられます。
要因は時代背景!?
その要因は、生きてきた時代背景にあると考えます。
私達の世代は、高校生の頃に初めて携帯電話(ガラケー)を手にし、スマホは社会人になってからです。
(初めて手にしたスマホは、iphoneの初期型です。当時はソフトバンクしかなかった。)
さらに上の世代では、最近手にしたという方も少なくありません。
しかし、皆様はどうでしょう。
物心ついた頃から、パソコン、スマホといった最新機器やテクノロジーに触れ、それらを当たり前のように使いこなします。
その時点でかなり優位な立場にいると思いませんか?
ケース2|建築業界の将来性の悩み
建築士に未来はありますか? 将来仕事なくなる?
この悩みも多いです。
公共工事の発注数の減少や、景気悪化のニュースがますます不安にさせるのでしょう。
マインドセットその2
A:建築士に未来あります。特に若い世代は希望の塊。
私の見解は世間とはちょっと違います。
私は未来は希望に溢れていると考えています。
ここからは、私が「建築士の未来が明るい!」と考える理由について紹介させて頂きます。
建築士の未来が明るいと考える根拠
根拠1|建築士の年齢分布
まずは、下の建築士の年齢分布のデータをご覧下さい。
登録者数(平成17年度末時点)
一級建築士:322,248名
二級建築士:692,968名
木造建築士: 14,950名
一級建築士の年齢階層別登録数
20歳代 :約 2,000人
30歳代 :約 47,000人
40歳代 :約 66,000人
50歳代 :約101,000人
60歳以上:約106,000人
平均年齢 56.2歳
グラフから解るように、50歳代〜60歳代以上が全体の64%を占めています。
20歳代〜30歳代は全体の30%程度です。
つまり、あと10〜20年すると、一級建築士の2/3が60歳を越えることになります。
同時に、20歳〜30歳代の稀少性が高くなることを意味します。
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近い将来、建築士の希少価値が上がります!
根拠2|以外に多い仕事数
私が調査したところ、
完工高で比較すると減少していますが
大騒ぎするほどでは無い。
仕事があるところにはある。
というのが私の見解です。
例えば、住宅の着工数です。
【例】茨城県の住宅着工数
『茨城県の住宅着工数』を例に上げてみたいと思います。
ピークは、1996年の20,367戸です。
年々着工数が減ってきているのがわかりますが、2017年度の持家着工数は、約9,200戸です。
この9,200戸を365(日)で割ると、1日当たり25.2戸が着工していることになります。
(賃家住宅の戸数は入っていません。)
この数字を皆様はどう感じますか?
私は、「こんなに多いの!?」とびっくりしました。
もっと少ないと想像していたからです。
なぜ仕事が無い!といわれるか?
こんなにも着工数があるのに、なぜ建築士の将来が暗いといった話題になるか?
これは私の勝手な想像ですが、
ライバル・競合を少なくしたい人達
が流しているデマなのかもしれません。
周りの噂に騙されてはいけません。
仕事はあるのです。
周りの意見に惑わされずに、
『来たるその時』が来るまでにしっかりと技術を磨いておくことが大切だと考えます。
若手建築士の皆様へのご提案
ここからが前項を踏まえての、 私からの提案です。
提案の前に「私が何者か」について、少しだけ紹介させて頂きたいと思います。
「まるたか」のプロフィール
私の職歴を簡単に表すと
「職人(配管溶接工)」→「施工管理(冷凍冷蔵設備)」
→「建築士」→「設計事務所経営(いまココ)」
と、なります。
「スーパーゼネコン」から「中小工務店」の幅広い施工業者様、
「公共工事」から「民間企業」と幅広い立場から建築に携わることができました。
他の建築士さんよりも、ちょっとだけ建築を広くみてきたと思います。
↓↓↓ 詳しいプロフィールはこちらから ↓↓↓
これからの業界の鍵は「若手建築士の皆様」
建築士の仕事って素晴らしいと思っています。
設計やアイデアによって、人の生活を改善できる仕事ってそうそう無いと思うんです。
なので、今後も設計業界が盛り上がって欲しいし、自分も業界の役に立ちたいと本気で考えています。
(このブログもその一環として立ち上げました。)
業界を盛り上げる鍵は、「未来ある若手建築士の皆様」だと考えています。
そんな皆様へ提案したいのは、
私がこれまでの経験で、
皆様の年代(新卒から入社5年未満)の頃からこうしていればよかった〜。
と痛感していることです。
提案1|先輩の真似で終わらない!(良いところは徹底的にパクる)
先輩をトレースしただけのスタイルではいけません。
自分なりの工夫が必要です。
これまでの先輩方のスタイルは、時代の変化と共に少しずつ合わなくなる可能性があります。
独自のスタイルの重要性
大成している人たちの多くは、その分野の先駆者(パイオニア)です。
先駆者(パイオニア)となることが、自分の道を切り開くことに繋がります。
例として、ビジュアル系バンドで
”生ける伝説”として語り継がれる「X JAPAN」をみてみましょう。
先駆者「X Japan」から学ぶ独自のスタイル
派手なビジュアルが注目されがちですが、
当時は前例のなかった、「ロックバンドのバラエティー番組出演」に積極的に取り組みました。
これは、認知度を上げるために意図的に行っていたそうです。
(ここがポイント)
当時はイロモノキャラとして扱われていましたが、その後国民的スターになりました。
今ではあたり前の
「ビジュアル系バンド」
「ロックバンドのバラエティー番組への出演」
は、X Japanがレールを創ったとされています。
↓↓ 詳細はこちらから ↓↓
先駆者となるにも、これまで培われてきた歴史・技術がベースとなりますも。
特に建築に関しては、普遍的なことが多い分野なので、先輩方から学ぶことをベースとし、自分なりのスタイルを確立していくことが大切だと感じます。
(応用は、日本人の得意分野です。)
先輩方へのリスペクトは絶対に忘れてはいけません。
提案2|周りに合わせず出る杭になる!
いうのは簡単なのですが、実際やるのはなかなか難しい。
(仕事上チームプレイが多い業界なので)
しかし、「出る杭」になるべきだとった私は考えます。
建築士の希少性が高まることは間違いありませんが、
それと同時に テクノロジーが進化によって技能の差がつきにくくなる可能性があります。
例えば、
1)実施設計図を自動で作成するCAD
2)条件を入力すると建物ボリュームを算出するソフト
3)図面から自動積算するソフト
とか、既に実用されているものもありますよね。
このような技術は、今後ますます進化するでしょう。
ぼやぼやしていると「コンピューターに代用可能な人」になりかねません。
そうならない為にも、『周りより秀でた技術者(=出る杭)』なるしかないのです。
そこで、私がオススメしたいことは「新しいことへの挑戦」です。
自分の得意分野を持つということです。
新しいことへの挑戦(=自分の得意分野も持つ)方法
挑戦といっても、ジャンルはなんでも良いと思います。
(設計の知識の習得でもいいし、趣味を極めてもいいし。)
何に人気が出るかわからない世の中なので、
自分の興味があることを楽しみながらやってみるのが良いと思います。
(芸人のヒロシさんが、再ブレイクしたきっかけが趣味のキャンプだという例もあります。)
挑戦といっても小さなことからでも始められます。
毎日少しずつ勉強すれば、いづれ大きな力となります。
いずれ、自分のキャラクターになり将来自分を助けてくれるはずです。
提案3|これまでの常識を疑う
これまでの「常識」を疑うことって、結構大事です。
実は、常識は時代ごとで変わる非常に不安定なものです。
しかし、
私達は国民性なのか、変化に抵抗がある方が多いそうです。
視点を変えると見えてくるものってあります。
新しいサービスや商品と、そんな常識への疑問から生まれいるものが多いです。
提案4|1級建築士は絶対にとる
1級建築士は、絶対にとりましょう。
(なるべく早く)
早く実務に携われて経験を積めるという面もありますが、
信頼度が格段に上がります。
私の体験談ですが、
二級建築士事務所を立上げた後に「一級建築士事務所」へ変更しました。
「二級建築士事務所」と「一級建築士事務所」両方の開設者としての経験がありますが、「二級」と「一級」では、信頼の面で差があるのが事実で、断然「一級建築士」の方が上です。
新しい挑戦をする時にも「一級建築士」の肩書きが助けてくれる機会があります。
さいごに
「間違いなく、建築士の未来は明るい!」
少なくとも私はそう信じています。
これからも、建築設計の道を進む皆様の役に立てれば嬉しいですし、
私も皆様に負けないように精進していきます。
今後ともよろしくお願いします。m(_ _)m
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
↓「まるたか」について詳しくはこちらをご覧下さい。
このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
建築士必携!!
文字では理解しにくい内容を図解でわかりやすくまとめてくれています。
諸官庁の技術者も使用しています。
*1:こんな風に考え方を変えたら楽じゃない?
こんな風に先輩と付き合ったらどう?という考え方