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【計画時のポイント】 コンクリートブロック塀の設置基準  建築士の役割を再確認したできごと

最近の新築案件では、

高さのあるコンクリートブロック塀が採用されるケースは少なくなってきました。

 

せいぜい、植栽周りに化粧ブロックを使うか

3段程度のフェンス基礎として使用するくらいでしょうか。 

 

ひと昔前は、安価であることから多くの建物に使用されていました。 

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最近起きました「熊本大震災」や「大阪北部地震」でも、

倒壊したコンクリートブロック塀の下敷きとなり死傷者が出ました。

 

建築物や工作物が、震災時には凶器になることを改めて実感しました。

 

このような悲惨な事故が今後起こらないように、

私たち建築士はしっかりとした仕事をしなければなりません。

 

建築士の仕事では、改修設計や定期診断など、

既存の建物に対する案件も多くあります。

古い年代に建設された建物には、高い確率でコンクリートブロック塀が採用されています。

 

建築士の役割

自治体でも緊急点検を実施し始めています。 

【茨城新聞】学校ブロック塀緊急点検 大阪北部地震受け水戸の5校補修へ

 

しかしながら、全てのブロック塀をカバーすることは不可能であると思います。

 

建築の仕事をさせて頂いている者として、

地域の安全を守るための役目を果たすことが必要では無いでしょうか?

 

例えば、

改修設計に携わった物件の敷地内に危険なブロック塀が無いか?

設計の要求になくても、合わせて確認することが必要であると考えています。

 

今回は、「コンクリートブロック塀の設置基準」を紹介します。 

特に暗記する必要はないので、必要な時に確認して頂ければと思います。

 

久保田セメント工業 コンクリートブロック チービー ヨコ グレー 4個入り 1007520GRY(4P)

 

コンクリートブロック塀の設置基準

ブロック塀(補強コンクリートブロック造)

建築基準法施行例(法律上守らなければならない基準)

(1)高さ   2.2m以下

(2)壁の厚さ 高さ2m以下  →100mm以上

        高さ2m超える →150mm以上

(3)控壁   長さが3.4m以下ごとに控壁(塀の高さの1/5以上の長さのもの)

        を設ける

(4)基礎   基礎の根入れ深さ 300mm以上

        基礎の丈 350mm以上

(5)鉄筋等  1/  鉄筋径9mm以上を使用する

        2/  鉄筋、横筋共に800mm以下の間隔で配筋する

           3/  壁の四隅(両端・上下)と基礎に配筋

        4/  先端はカギ状に折り曲げる

        5/  鉄筋の回りにはコンクリート又はモルタルを十分に詰める 

 

日本建築学会規準(推奨)

(1)高さ   2.2m以下

(2)壁の厚さ 高さ2m以下  →120mm以上

        高さ2m超える →150mm以上

(3)控壁   長さが3.4m以下ごとに控壁

         (長さ400mm以上、控え壁の下がりは本体高さより450mm以内)

          又は控え柱を設ける

(4)基礎   基礎の根入れ深さ 300〜500mm以上(基礎形状と高さによる)

        基礎の丈は根入れ深さ+50mm以上

(5)鉄筋等  1/  D10以上の異形鉄筋を使用する

         (高さ1.8mを超える場合はD13以上

        2/  横筋は800mm以下の間隔で配筋する。

           縦筋は、高さ1.6m以下 → 800mm以下

                 1.6m以上 → 400mm以下

           3/  壁の四隅(両端・上下)と基礎に配筋

        4/  先端はカギ状に折り曲げる

        5/  鉄筋の回りにはコンクリート又はモルタルを十分に詰める 

 

 

 

組積造の塀

建築基準法施行例(法律上守らなければならない基準)

(1)高さ   1.2m以下

(2)壁の厚さ その部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上

(3)控壁   長さが4m以下ごとに壁の厚さの1.5倍以上突出した控壁を設ける。

(4)基礎   地中に200mm以上埋め込む

 

 

日本建築学会規準(推奨)

(1)高さ   I 型基礎  → 1.1m以下

                            逆T型・L型基礎 → 1.4m以下

(2)壁の厚さ 150mm以上

(3)控壁   長さが3.6m以下ごとに600mm以上突出した控壁を設ける

(4)基礎   地中に300以上かつ塀の高さの1/4以上埋め込む

 

 

コンクリートブロック塀の点検方法

外観による点検

(1)高さが高すぎないか

(2)壁の高さが適切か 15mm以上

            (高さが2m以下ならば120mm以上)

(3)控壁が設けられているか。

   控壁の間隔は適切か。

(4)基礎はあるか

(5)基礎の深さは適切か

(6)表面の老朽化、クラックは無いか

(7)傾きやぐらつきは無いか

 

 

内部の点検(一部破壊しないと確認できない項目有り)

(1)鉄筋が入っているか

(2)鉄筋が錆びていないか

(3)鉄筋の位置や間隔は適切か

(4)鉄筋が基礎から立ち上がっているか

(5)鉄筋の端部はカギ状になっているか

(6)鉄筋のかぶりは適切か

(7)モルタルが十分に詰まっているか

(8)モルタルが劣化していないか 

 

 

コンクリートブロック塀内の鉄筋を簡単に調べる方法 

コンクリートブロック塀の危険度を判定するには、

内部の鉄筋が重要となります。

判定するためには、その鉄筋の間隔を確認する必要があります。

 

鉄筋量を確かめる機器「ウォールスキャナー」

多くのメーカーから発売されています。

値段も様々です。

 

 

鉄筋を調べる際の注意点

「控壁」と「壁」のつなぎ鉄筋

壁自体、控え壁には鉄筋が入っているが、

壁と控え壁をつなぐ鉄筋が抜けているケースが多いそうです。

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意外と抜けているケースが多い部分なので、

チェックするとお客様に喜ばれるポイントです。

  
 

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★☆☆

最後まで閲覧頂きまして、

ありがとうございました。m(_ _)m 

 

この記事を書いた人

 

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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』

★「職人」から「建築士」へ 

   施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。

2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。

退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。

実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。

 

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