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住宅のエアコン選定方法!! エアコンの暖房負荷・冷房負荷計算する方法

住宅のエアコン選定方法!! 

エアコンの暖房負荷・冷房負荷計算する方法

今回は、最近の猛暑により注目されている

住宅におけるエアコンの選定方法を紹介します。

 

知っていると得する情報も合わせて記載しますので、

設計中の方や、エアコン購入を検討している方に参考にして頂けたら

嬉しいです。

 

少しの手間で、「イニシャルコスト」「ランニングコスト」がお得になります。

是非試してみて下さい。 

↓ 事務室等の建物の負荷計算に関する記事はコチラ ↓

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エアコンカタログの見方

エアコン購入を検討してる方は、

まず、電気量販店に行く方、カタログを見る方が多いと思います。

 

今回は、壁掛け型のルームエアコンを例にします。

カタログの例

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出典:DAIKIN 住宅設備用カタログ 2018年7月発行 P33~P34

これは、DAIKINのカタログです。

他のメーカ―も同様に考えていください。

 

☆6帖程度用のエアコンを見てみましょう。

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様々な数値が掲載されていて、分かりずらいですね。

 

 

数値の意味

エアコン選定用には、4点をチェックします。

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1・定格運転

暖房定格能力:2.2kW

冷房定格能力:2.2kW

2・最大能力

暖房最大能力:4.6kW

冷房最大能力:2.8kW

 暖房能力の方が、冷房能力よりも最大能力が大きいことがわかります。

3・最小能力

暖房最小能力:0.7kW

冷房最小能力:0.6kW

4・通年エネルギー消費能力 6.3

通年エネルギー消費能力とは、冷暖房合計の年間効率のことで

簡単に表すと、車の燃費のようなものです。

 

「1」の電気エネルギーに対して、何倍の働きをするかを表す数値です。

数字が大きいほど、効率が良いエアコンであることを表しています

 

 

POINT1 お得情報

カタログに記載されている畳数は、

カタログの注記にあるようにあくまで目安です。

 

カタログの畳数算定は、

『木造平屋建て 南向きの和室 無断熱の居室』がモデルになっています。

 

畳数の目安からエアコンを選定すると、

確実にオーバースペックのエアコンになります。

 

実情にあうエアコンを選定するには、負荷計算が必須です

 

APF(エアコンの効率)からみる上手な選定方法

APF(エアコンの効率)は、

車の燃費と同様に、その時の状況によって大きく変動します。

 11.59㎡(7帖)の部屋に6帖用エアコンを設置した場合

APF:3.2

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 11.59㎡(7帖)の部屋に14帖用エアコンを設置した場合

APF:2.4

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部屋に対して大きなエアコンを設置すると、APFが下がることがわかります。

 

すなわち、畳数目安を参考にして能力を決めてしまうと、

必要以上のエアコンが選定されてしまうので、

機種代が高くなる他、エアコンの効率が下がります。

 

実情に合わせて負荷計算をしてエアコンを選定することが、

「イニシャルコスト」「ランニングコスト」を抑えるポイントです。

  

一般的に、定格能力の4〜6割程度の運転が最も効率が良いです。

 

 

暖房負荷・冷房負荷とエアコン要領算定

暖房負荷の算定

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外壁の熱貫流率:0.4W/㎡・K

内壁の熱貫流率:1.9W/㎡・K

天井の熱貫流率:0.2W/㎡・K

窓の熱熱貫流率:2.0W/㎡・K  

これらの数値は、実際の構成に合わせて下さい。

 

上のモデルで計算します。

外気への熱損失を求める

  式: 壁の面積×熱貫流率×温度差

南   面:(8.7ー3.3)㎡ × 0.4W/㎡・K × 20℃ =   43.2W

南   窓:  3.3㎡    ×  2.0W/㎡・K   ×    20℃ =132.0W

西   面:  6.5㎡    ×  0.2W/㎡・K   ×    20℃ =  52.0W

2階天井:        10㎡            ×     0.2W/㎡・K   ×    20℃ =  40.0W

 非暖房室への熱損失を求める

東内壁:   6.5㎡ ×  1.9W/㎡・K   ×   10℃=123.5W

北内壁:   8.7㎡ ×  1.9W/㎡・K   ×   10℃=165.3W

2階床: 10.0㎡ ×  1.9W/㎡・K   ×   10℃=190.0W

換気による熱損失を求める

24㎥  ×  0.5回  ×  0.35W/㎡・K   ×    20℃ =  84.0W

熱損失集計

外  気:267.2W

非暖房室:478.8W

換  気:  84W

総熱損失:830.0W

 

内部発熱量:100W(最低1人として)

総熱損失ー内部発熱:730.0W

日射取得熱を求める

日射取得熱:330W/㎡×3.3㎡×60%=653.4W

 

POINT2

1・断熱性能が高い場合、

  外壁の断熱性能よりも、非暖房室の熱損失が大きいのが分かります。

  高断熱化住宅では、全館空調の方が効率が良いことがわかります。

 

2・断熱性能が良い場合、

  日射熱取得がある昼間においては、暖房不要とすることができます。

 

冷房負荷の算定

同じように冷房負荷について計算します。

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外気への熱損失を求める

南   面:(8.7ー3.3)㎡ × 0.4W/㎡・K ×   8℃ =   17.3W

南   窓:  3.3㎡    ×  2.0W/㎡・K   ×      8℃ =  52.8W

西   面:  6.5㎡    ×  0.2W/㎡・K   ×      8℃ =  20.8W

2階天井:        10㎡            ×     0.2W/㎡・K   ×    33℃ =  66.0W

 非暖房室への熱損失を求める

東内壁:   6.5㎡ ×  1.9W/㎡・K   ×   8℃=98.8W

北内壁:   8.7㎡ ×  1.9W/㎡・K   ×   8℃=132.2W

2階床: 10.0㎡ ×  1.9W/㎡・K   ×   8℃=152.0W

換気による熱損失を求める

24㎥  ×  0.5回  ×  0.35W/㎡・K   ×    8℃ =  33.6W 

熱損失集計

外  気:156.9W

非暖房室:383.0W

換  気:  33.6W

総熱損失:573.5W

 

内部発熱量:100W(最低1人として)

総熱損失内部発熱:673.5W

日射取得熱を求める

日射取得熱:330W/㎡×3.3㎡×60%=653.4W(庇無の場合)

 庇により8割カットした場合:130.68W

 

↓庇の設定方法はこちらです↓

www.arch-memo.com

 

 

顕熱負荷(庇無し):1326.9W

顕熱負荷(庇有り):  804.2W

 

求めた数値を顕熱比=0.7で割る

顕熱負荷(庇無し):1,896W

顕熱負荷(庇有り):1,149W

 

POINT3

1・暖房能力よりも冷房能力の方が能力が必要。

2・エアコンの暖房・冷房の差から、

  1台のエアコンで冷房と暖房を賄うと費用がかかる。

 

暖房・冷房共に、余裕率1.3程度を加算するようにして下さい。

 

暖房負荷にによる「イニシャルコスト」「ランニングコスト」の比較

断熱性能によって、どの程度費用が変わるかの試算表です。

 

「40kwh/年」と「80kwh/年」で、比較をします。

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試算によると「イニシャルコスト」「ランニングコスト」合わせて

「270万円」の差がでることが分かります。

 

エアコンはいずれ壊れます。

更新のコストも考慮し、台数は極力が少ないプランのほうがお得です。

 

これが「本当はエコハウスの方が安い!!」と言われる理由の一つです!

 

 さいごに

1・実情に合わせて負荷計算して、

  最適なエアコンを選定することが

  「イニシャルコスト」「ランニングコスト」を抑えるポイントです。

2・断熱性能があがれば、全館空調の方が効率が良いです。

3・エアコンは、冷房用と暖房用と別々に分けたほうが効率が良いです。

 

設計中の方や、エアコン購入を検討している方は、

是非検討してみて下さい。

  

本ブログでは、設備設計やってみようシリーズを立ち上げました。

随時記事を増やしていきますので、お時間があれば合わせてご覧下さい。

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実施設計やってみようシリーズ カテゴリーの記事一覧 へ

 

★☆☆☆彡

最後まで閲覧頂きまして、

ありがとうございました。m(_ _)m 

  

この記事を書いた人

 

「まるたか」についてはこちらをご覧下さい。

このブログについて 建築士の挑戦 - 建築士 まるたかのブログ .com

 

 

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