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【設備設計実際にやってみようシリーズ】給水配菅の実施設計(直接給水方式編)1/2(全2回)建物の使用給水量を求める

【意匠設計者向け 設備設計やってみようシリーズ】

給水配菅径の実施設計(直接給水方式編)1/2(全2回)

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【シリーズの内容】

【第1回】 建物の使用給水量を求める ←←

【第2回】 配管口径を求めて、配管図を書いてみる

 

 

今回は、第1回として建物の使用給水量を求めていきます。

 (ネタばれしちゃうので、同業の仲間からはぶっとばされそうですが、公開しちゃいます。)

 

難しいと思われがちですが、やってみると意外と簡単です。

 

 

まずは、すでに竣工した現場で試してみるとよいです。

是非挑戦してみて下さい。 

注意事項

給水配管に関しては管轄の諸官庁で独自の基準や規定が定められていることがあります。

計画前と計画後に必ず、諸官庁への調査・協議を実施することをオススメします。私は何度も足を運んでいます。役所協議はタダですから!

 

給水配菅径の選定方法(直接給水方式編)

【事前準備】給水方式のおさらい

 まず、給水方式をおさらいしましょう。

この記事で該当するのは、「直接給水方式」なので注意して下さい。

 

それでは、本題に戻ります。

設備設計基準をお持ちの方は、ご準備をお願いします。

設備設計基準とは”この本”です。

建築設備設計基準 平成27年版

建築設備設計基準 平成27年版

 

 

 

【建物モデル】

建物モデルとして次のような建物を想定します。

 

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地方に立つ平屋のクリニック(診療所)です。

(ツッコミどころ満載の平面プランですがあしからず・・・)

基本データ

・前面道路に水道本管・公共下水道・都市ガス完備

・従業員数:5名

・建物規模から「直接給水方式」を採用する。

 

給水量を求める方法は、大きく2つあります。

①人員による給水量

②給水器具数による給水量

 2つの方法で給水量を求めて、

その数値をもとに検討して、安全側の給水量を算定するようにしています。

 

この記事でも、2つの方法で実践してみます。

 

 

 

【第1章】人員による給水量の算出(設備設計基準P542)

算出までの工程は以下の通りです。

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専門用語が多いので、とっつきづらいですが

「掛け算」ができれば簡単に求めることができます。

 

【手順】 使用者種別ごとの1日の給水量を算定する。

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まずは、「1日の給水量」を算定していきましょう。

給水量を算定するには、施設の利用者数を求める必要があります。

施設の利用者数を求める

従業員数は、きまっているので5人とします。

患者さんの人数は、診療室等の床面積から「定数」をかけて算出します。

(ポイントです。)

 

【設備設計基準P544 表2-1】より、診療所の外来患者は

診療室等の床面積 × 0.3人/㎡ 

ということが確認できました。

 

よって、

46.3㎡ × 0.3 = 13.912人 ≒14人(外来患者数)

 

それぞれを、合計すると

外来患者数:14人

スタッフ :5人

合   計:19人

 であることを求めることができました。

 

算定した利用者数から使用水量を求める

求めた利用者数から1日当たりの給水量を求めていきます。

(設備設計基準P544 表2-1)をみながら、使用量を求めます。

外来患者の1日使用水量

=14(人)× 10(L/(d・人)=140(L/d)

 スタッフの1日使用水量

=5(人)× 110(L/(d・人)=550(L/d)

 

 

【手順】 使用者種別ごとの時間平均予想給水量の算定

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つづいて、手順1で求めた「1日使用使用水量」に「使用する平均時間」を割り算して

「時間当たりの平均予想給水量」を求めていきます。

 

(設備設計基準P544 表2-1)をみながら、時間を求めます。

外来患者の時間平均予想給水量

=140(人)÷ 4(h)=35(L/h)

 スタッフの時間平均予想給水量

=550(人)÷ 8(h)=68.75(L/h)≒69(L/h)

 

 

【手順】 時間平均予想給水量の算定

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手順2までに求めてきた給水量を合算して、建物全体で考えていきます。

「外来患者の時間平均予想給水量」+「スタッフの時間平均予想給水量」

=35(L/h)+ 69(L/h)

104(L/h)

 

ここまでの手順で、

この施設は1時間当たり平均104(L)の水を使用することを求めることができました。

 

あともう一息です。

 

 

【手順】 時間最大予想給水量の算定

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手順3で求めた「時間平均予想給水量」ですが、一時的に給水量が増える可能性があります。

それに対応させる安全率のようなものだと考えて下さい。

時間最大予想給水量

= 2 × 104(L/h)

208(L/h)

 

 

【手順】 瞬時最大予想給水量の算定

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ここまでは、「(hour)時間当たりで考えてきましたが(minute)分当たり」に直します。

瞬時最大予想給水量

= 1.5 × 208(L/h)/ 60

5.2(L/min)

 よって、

この建物には、人員数から求めると

「1分間当たり5.2Lの給水量が必要である」

と求めることができました。

 

 

 

【第2章】給水器具数による給水量の算出(設備設計基準P546)

前項では、「人員数」による給水量を算出しました。

 

この章では、給水器具数から給水量を求めます。

特に多くの水が必要な機器がある場合があるので、かならずチェックしましょう。

(算出要領は同じです。)

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【手順】器具種別ごとの時間最大予想給水量の算定

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建物内の給水箇所・給水器具を確認する。

まずは、「給水が必要な箇所」と「給水器具」を確認しましょう。

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図のように配置が確認できました。

給水機器を集計すると

大便器 ×2個

小便器 ×1個

手洗い ×3個

流し台 ×3個

外部水栓×1個

 のようになります。

 

つづいて、(設備設計基準P547 表2-2)を参照して

機器ごとの給水量を算出していきます。

器具の時間最大予想給水量

=「1回当たりの使用量」×「1時間当たりの使用回数の最大値」

×「器具数」

より

大便器(洋風便器、タンク)←タンク式とフラッシュで数値が異なるので注意

= 10.5(L)× 12回 × 2個

= 252(L/h)

小便器

= 4(L)× 20(回)×1個

= 80(L/h)

手洗い

= 3(L)× 20(回)×3個

= 180(L/h)

流し台 

= 25(L)× 12(回)×3個

= 900(L/h)

外部水栓

瞬時最大流量が表2-2に出ているので、散水栓はここでは計算しない。

 

 

【手順】時間最大給水量の集計

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手順1で求めた器具ごとの水量を集計します。

時間最大予想給水量

=「大便器」+「小便器」+「手洗い」+「流し台」

252(L/h)+ 80(L/h)+ 180(L/h)+ 900(L/h)

1,412(L/h)

 建物全体で、1時間当たり1,412L使用することを求めることができました。

 

 

【手順】時間平均予想給水量の算定

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手順2で求めた給水量から、時間当たりの平均予想給水量を求めます。

時間平均予想給水量

=1,412(L/h) / 

706(L/h)

 

 

【手順】瞬時最大予想給水量の算定

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手順3で求めた給水量を、1分当たりの給水量に換算します。

瞬時最大予想給水量

= 2.5 × 706(L/h) / 60

=29.41(L/min)≒ 30(L/min)

 

これで、

この建物には、器具種別から求めると

「1分間当たり30Lの給水量が必要である」

と求めることができました。

 

それぞれを整理すると

人員数から求めた瞬時最大予想給水量 :5.4L/min

器具種別から求めた瞬時最大予想給水量:30L/min

 となり、数値の大きい『30L/min』を採用します。

 

 

 

さいごに

今回は、「給水配菅の実施設計(直接給水方式編)1/2(全2回)」として、

建物の使用給水量を求めてみました。

 

次回は、配管図の作成と管径の算定をしていきます。

 

【設備設計実際にやってみようシリーズ】給水配菅の実施設計(直接給水方式編)2/2(全2回)(建物の使用給水量を求める) へ進む

 

次回もよろしくお願いします。

 

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

最後まで閲覧頂きまして、

ありがとうございました。m(_ _)m 

 

この記事を書いた人

 

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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』

★「職人」から「建築士」へ 

   施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。

2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。

退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。

実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。

 

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