【建築豆知識】以外に多い違反建築物!
確認検査・完了検査の重要性を再確認!
以外に多い違反建築物!
今のご時世に違反建築なんてあるの??
なんて、思う方も少なくないはずです。
私自身「嘘でしょ!いつの話?」と正直思いました。
完了検査取得率の現実
下の表は、平成26年7月に国土交通省から発表された資料です。
この調査によれば、1998年の完了検査の割合はわずか38%しかありません。
しかも、2012年でも100%に至っておらず、10%程度が検査を受けていないということがわかります。
年々取得率は上がっていますが、現時点で100%だと断定できないのが現実です。
続いて、このような検査を受けない状況が起きた背景を紹介していきます。
理由1|検査を受けないデメリットが無かった
今では、検査済証が無いと金融機関の融資が下りませんが、
当時は検査済証に関係なく融資が下りる機関が多かったそうで、検査済証が無いこと以外のデメリットが無かったそうです。
その為、費用の面から確認検査を受けないことを求める施主もいたそうです。
理由2|認識・知識不足の技術者
確認済証の交付を受けて着工するわけですが、工事途中の設計変更はよくあることです。
設計変更をする場合、変更内容が建築基準法に適合しているか確認する「計画変更申請」が必要です。
計画変更申請が認められないと、その工事に入ることができない為、スケジュールが遅れます。
そのスケジュールの遅延を嫌い、申請せずにそのまま工事を進めるケースがあったそうです。
または、そもそも検査を受けることすら知らない事業者もあったそうです。
今では、建築士に対する罰則も厳しくなったこともあり、検査率はかなり増えました。
以上が、検査を受けない物件が多かった背景です。
検査済証が無いデメリット
当時は認識されていませんでしたが、空き家や既存ストックの問題がはっきりした昨今、検査済証が無いことのデメリットが明確に見えるようになりました。
デメリット1|不動産として活用しにくい
不動産を扱う多くの業者さんは、多くの既存建物が検査を受けていない事実をご存知です。
検査済証の無い物件は、認可が受けられなかったり、
売買の融資がつかなかったりと大きな手間がかかる物件となります。
つまり、扱いたくない物件というわけです。
将来、活用したくても活用できない状態になります。
デメリット2|再利用のコストがかかる
「1」の理由と共通することですが、検査済証の無い建物を活用しようとすると大きな手間と労力がかかります。
「検査済証のない建物の調査についてのガイドライン」により、検査済証の無い建物でも活用できる可能性ができましたが、まだ年数が浅いこともあり、行政によって運用のばらつきがあるそうです。
↓検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン
その為、「計画の打合せ」「現地の調査」が多く必要となります。
つまり、その分費用がかかるということです。
「建物を再活用できないこと」が、検査を受けない建物の最大のデメリットです!
さいごに
今回は、建築士の豆知識として、
「以外に多い違反建築物の実態」と「確認検査・完了検査の無いデメリット」について紹介させて頂きました。
既存ストック活用のためにも、しっかりと抑えておきたい重要なポイントです。
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
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