ARCHITECTURE ARCHIVE 〜建築 知のインフラ〜

建築の「知のインフラ」をコンセプトとした設計業務に関する知識や情報を発信するサイトです。

【レオパレス問題で注目されている遮音壁】あなたの設計は大丈夫!?

また、世間を揺るがす問題が建築業界で起きてしまいました。

news.biglobe.ne.jp

 

マンスリー契約でお馴染みの『レオパレス21』で、施工不良があったというこの問題。

 

現状を直接確認したわけではないので断定できませんが、

報道される内容をみる限り、法令違反である物件が存在するのが事実のようです。

 

自分が設計したわけではありませんが、設計者として兜の緒を締め直したいところです。

 

隔壁に必要なの防火性能と遮音性能

今回のレオパレス21の問題では、

「防火性能」と「遮音性」が劣るとされています。

 

今回は、「防火性能」に比べてあまり注目されていない「遮音性能」についておさらいしたいと思います。 

f:id:c6amndbgr3:20190212180151p:plain

 

『遮音性能』とは?

そもそも遮音性能とは?

遮音性能は透過損失で表されて、隔壁を隔てた音源からの音を聞いたとき、どの程度音が小さくなったかを透過損失といいます。

(建築士試験でも出題されますね。)

 

建築基準法30条

長屋又は共同住宅の各戸の隔壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸から日常生活に伴い生じる音を衛生上支障がないように低減するために隔壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 

要約すると、 

長屋や共同住宅の隔壁は、

小屋裏又は天井裏まで張り上げて政令で定める構造にしなさい。

ということです。

 

政令で定める構造とは、

告示で定められた構造又は、大臣認定の工法です。

 

続いて、

どの程度の性能が必要であるか確認しましょう。

(性能は、法令上の数値です。)

 

建築基準法施行例第22条の3

法第30条の政令で定める技術的基準は、下表にあげる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄にあげる数値以上であることとする。

 

振動数(単位:Hz「ヘルツ」)     透過損失(単位:dB「デシベル」

    125               25

    500               40

   2,000                 50

 

建設省告示第1827号

↓↓↓  告示PDF

http://www.clion.co.jp/support/pdf/notification/S45_1827.pdf

 

告示では、遮音性能を有する長屋又は共同住宅の界壁の構造方法を下のように定めています。

(以下は、告示の内容を私なりの解釈した図解です。)

 

1|下地等を有しない界壁の構造方法

1) RC造、SRC造又は鉄骨コンクリート造で厚さが100mm以上のもの


2) CB造、無筋コンクリート造、れんが造又は石造で肉厚及び仕上げ材料の厚さの合計が100mm以上のもの

f:id:c6amndbgr3:20190212190412j:plain

 

3) 土蔵造で厚さが150mm以上のもの

 

4)厚さが100mm以上の気泡コンクリートの両面に厚さ15mm以上のモルタル、プラスター又は漆喰塗ったもの

f:id:c6amndbgr3:20190212190502j:plain

 

5) 肉厚が50mm以上の軽量コンクリートブロックの両面に厚さが15mm以上のモルタル、プラスター又は漆喰を塗ったもの

 

6)厚さが80mm以上の木片セメント板(かさ比重が0.6以上のものに限る。)の両面に厚さが15mm以上のモルタル、プラスター又はしつくいを塗ったもの

f:id:c6amndbgr3:20190212190608j:plain

 

7) RC製パネルで厚さが40mm以上のもの(1㎡当たりの質量が110kg以上のものに限る。)の両面に木製パネル(1㎡当たりの質量が5kg以上のものに限る。)を堅固に取り付けたもの

 

8)厚さが70mm以上の土塗真壁造(真壁の四周に空隙のないものに限る。) 

 

 2|下地等を有する界壁の構造

1|下地等の両面を次のイからニまでのいずれかに該当する仕上げとした厚さが13cm以上の大壁造であるもの

イ)鉄網(ラス)モルタル塗又は木ずりしつくい塗で、塗厚さが20mm以上のもの


ロ) 木毛セメント板張又は石膏ボード張の上に厚さ15mm以上のモルタル又はしつくいを塗つたもの


ハ) モルタル塗の上にタイルを張ったものでその厚さの合計が25mm以上のもの

 

ニ) セメント板張又は瓦張の上にモルタルを塗ったものでその厚さの合計が25mm以上のもの


二 |次のイ及びロに該当するもの


イ) 界壁の厚さ(仕上材料の厚さを含まないものとする。)が100mm以上であり、その内部に厚さが25mm以上のグラスウール(かさ比重が0.02以上のものに限る。)又はロックウール(かさ比重が0.04のものに限る。)を張つたもの


ロ) 界壁の両面を次の(1)又は(2)のいずれかに該当する仕上材料で覆つたもの


(1) 厚さが12mm以上の石膏ボード、厚さが25mm以上の岩綿保温板又は厚さが18mm以上の木毛セメント板の上に厚さが0.9mm以上の亜鉛メッキ鋼板、厚さが4mm以上の石綿スレート又は厚さが8mm以上の石綿パーライト板を張ったもの


(2) 厚さが6mm以上の石綿スレート、厚さが8mm以上の石綿パーライト板又は厚さが12mm石膏ボードを二枚以上張ったもの

 

【参考図】チヨダウーテのホームページから引用

f:id:c6amndbgr3:20190212190711j:plain

出典:http://www.chiyoda-ute.co.jp/data/syaon_law.html

 

大臣認定の構造

大臣認定の工法は、

「吉野石膏」や「チヨダウーテ」さん等のメーカーさんのカタログをみれば確認できます。

 

さいごに

今回は、今話題のレオパレス21の問題から「遮音性」について考えてみました。

設計者として、誠実な設計を心掛けたいものです。

 

次回もよろしくお願いします。

 

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

最後まで閲覧頂きまして、

ありがとうございました。m(_ _)m 

 

この記事を書いた人

 

↓「まるたか」について詳しくはこちらをご覧下さい。

このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』

★「職人」から「建築士」へ 

   施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。

2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。

退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。

実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。

 

ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。

 

 

「実施設計やってみようシリーズ 」の記事一覧 へ戻る

計画時のポイントシリーズ

「意  匠」へ戻る     「構  造」へ戻る 

「電気設備」へ戻る     「機械設備」へ戻る