建築士のメモ帳.com

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【建物の性能シリーズ】木造住宅 断熱工事の新常識 気流止め

断熱や気密をはじめとする、建物の性能に注目され始まった背景として2011年の東日本大震災が起因していると感じます。

 当時私が住んでいた地区でも、震度6前後の揺れがあり、約1週間電気や水道が止まりました。当時私が住んでいた住まいは、RC造3階建ての社宅でした。築年数は20年程度。3月でしたが、朝晩は冷えまして暖をとるために、ダウンジャケットを着込んだまま生活していたことを思い出します。

建物の性能(エネルギー)について興味を持ったのは、ちょうどその頃です。

 

今では、「高断熱高気密住宅」という言葉が一般的になりまして、家を選ぶ際の判断基準にされるお施主様も増えてきました。

今回は、【建物の性能シリーズ】としまして、木造住宅の断熱工事について書きます。

断熱材の効かない木造住宅

在来木造壁の中の空洞部分は、前後、石膏ボードが普及して間柱を立てて、筋交いを入れるようになってから生じるようになったとされています。

天井は吊り天井で、壁内の空隙部を通じて、床下から天井裏まで何も遮るものがない状態になります。

例えば、室内で暖房をすると、この空隙の空気が温められて天井へ上がり、床下からは冷気が入り込む空気の流れが起きます。

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これは、外壁や間柱でも起こり、外気が建物の中にい入ってくる状態です。

また、空気の温度差により、天井裏や壁の中で結露を起こしてしまいます。

ポイント

  • 断熱材をしっかり入れても、壁内の気流を止めることはできない。
  • 隙間の多い建物は、外気の流入・結露の危険がある。

 いくら厚い断熱材を入れても、気流の流れを止めていなければ、効果は薄れてしまうので、注意です。壁内の空気の移動に伴って、断熱材に含まれる空気の熱も移動してしむことが原因です。

断熱材を活かす為の工法

断熱材を活かすためには、垂直方向の断熱部位である外壁の上下を空気が流れないように塞ぐ必要があります。また、壁と床、天井などの取り合い部でも「気流止め」を設けて、空間的に独立させることが必要となります。

「気流止め」の工法

室内の壁側へ気密シートを貼る「シート気密構法」が、性能の高い工法とされています。

私自身も会員ですが、「パッシブハウス・ジャパン」で定期的に開催されている、現場見学会では、どの住宅に行ってもこの工法が採用されていました。

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このような工法を採用するのは、一般ではまだまだ少ないと思います。

シート気密構法の問題点

  • 先張りシートを張るため、建て方の順序が変わってしまう
  • 一般的に、技術習得に時間がかかる
  • 気密層であるポリエチレンシートは丁寧な施工が必要で手間がかかる

 建物の断熱・気密性能を確保する上で重要な工程ですので、現場でも十分確認することをお勧めします。

 

最後に

建物の性能は、私自身最も関心のある分野です。

それは、日本のエネルギー問題と直結すると考えるからです。

日本は、エネルギーを外国からの輸入に頼らざるを得ない状況です。

歴史的に見ても、第二次世界大戦時はエネルギーを確保するための戦争であったという説がある程、エネルギー確保の問題は重要なものです。

省エネな建物が増えることが、日本のエネルギー消費量を減らし、外国への依存度を減らすことに繋がると考えています。

 

これからも、【建物の性能シリーズ】を書いていきたいとおもいます。

 

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