住宅の性能を考える上で、真っ先に考えることは「断熱」です。
そして「断熱」の次に重要なポイントが「湿度」です。
今回は「湿度」について考えていきます。
湿度も住む人の健康に密接に関係しています。
人間の本能「今現在最悪の状況に意識は集中する」
人間の本能の1つに、「今現在最悪の状況に意識は集中すること」が挙げられます。
例えば、
「お腹が空いた」時には、お腹が満たそうとする意識に集中します。
これは、命に関わることなので欲求レベルは高いです。
空腹の欲求が満たされると、次の欲求を意識します。
またそれが満たされると、次の欲求を満たそうとします。
「マズローの欲求5段階説」としても有名ですが、
低階層の欲求から高階層の欲求を満たそうとする人間の本能的なものです。
人類は、これまで様々な環境を生き抜いてきた結果として今現在があります。
生き抜いてきた進化の過程に、この本能が身についたという説があります。
人間の欲求を「住環境」に置き換える
人間の欲求を住環境に置き換えますと、
まず、
低階層に「寒い・暑いを解消したい」「光熱費を抑えたい」
という欲求があり、
次の階層に
「温度ムラを少なくしたい」「湿度、乾燥を適切にしたい」
という欲求がでてきます。
ヒアリングの際には、
必ずお施主様の現在住んでる環境を確認して下さい。
「お施主様が本当に求める環境はどこなのか?」
重要なポイントとなります。
湿度と健康の関係性
昨今の建物は、断熱性能への意識から
全体的なレベルが上がってきていると言われています。
次のステージが「湿度のコントロール」です。
「湿度」と「人間の健康」は密接に関係しているので、
お施主様のメリットも非常に大きいです。
断熱性能が無いと、湿度を効率良くコントロールすることはできません。
これは、温度変化によって湿度が変化するからです。
どちらかだけが優れていれば良いものではありません。
相対湿度に対するアレルギーなどの放出量
上の図は、相対湿度に対する各項目の影響の度合いを表した図です。
1・建材からの化学物質の放出
湿度が少なくても多くても健康に影響があります。
これが、「湿度」と「人間の健康」の関係性の根拠です。
地域別の相対湿度と絶対湿度
湿度は、地域によって差があります。
月平均相対湿度(%)
月平均絶対湿度(kg / kg D.A.)
相対湿度と絶対湿度がありますが、
住環境を考える時に必要な数値は「絶対湿度」です。
これは、「結露」の発生を予想計算する際にも重要な数値です。
湿り空気線図から見る快適ゾーン
「Clo 0.5」「Clo 1.0」それぞれの快適ゾーンを示した図です。
湿度を制御する為には「通風」は有効??
続いて、これまで確認してきた項目をもとに建物について考えていきます。
通風が環境を考える上で不利な理由
東京の温湿度環境を整理した表です。
健康に配慮した湿度環境を考えると、
絶対湿度7g未満は「加湿」、13g以上は「除湿」を検討します。
一目でわかるように、加湿・除湿が必要ない月は、
「4月」「5月」「10月」のたった3ヶ月しかありません。
「通風」のみで快適な環境を作れるのは、この3ヶ月のみです。
健康に配慮した環境を目指すと、
残り9ヶ月間は「加湿」または「除湿」が必要となることがわかります。
つまり、通風さえよければ良いというものでは無く
「除湿」と「加湿」についても検討しなければなりません。
注意
地域によって外部環境が異なるので、同じ結果になるとは限りません。
計画地の環境によって検討が必要です。
★☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
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