【意匠設計者向け 設備設計やってみようシリーズ】
給水配菅径の実施設計(直接給水方式編)2/2(全2回)
【シリーズの内容】
【第1回】 建物の使用給水量を求める
【第2回】 配管口径を求めて、配管図を書いてみる ←←
今回は給水配管の管径(直接給水方式)を求めて、
実際に図面を書いていきたいと思います。
(ネタばれしちゃうので、同業の仲間からはぶっとばされそうですが、公開しちゃいます。)
難しいと思われがちですが、やってみると意外と簡単です。
すでに竣工した現場で試してみるとよいです。
是非挑戦してみて下さい。
【設備設計実際にやってみようシリーズ】給水配菅の実施設計(直接給水方式編)1/2(全2回)建物の使用給水量を求める へ戻る
注意事項
給水配管に関しては管轄の諸官庁で独自の基準や規定が定められていることがあります。
計画前と計画後に必ず、諸官庁への調査・協議を実施することをオススメします。私は何度も足を運んでいます。役所協議はタダですから!
事前準備
【1】これまでのおさらい
まず、給水方式をおさらいしましょう。
(本記事で取り上げているのは、「直接給水方式」です。)
設備設計基準をお持ちの方は、ご準備をお願いします。
設備設計基準とは”この本”です。
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- 作者: 国土交通省,公共建築協会
- 出版社/メーカー: 公共建築協会
- 発売日: 2015/08/01
- メディア: 単行本
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【2】建物モデルの確認
建物モデルは、
『【設備設計実際にやってみようシリーズ】給水配菅の実施設計(直接給水方式編)1/2』と同様に下のような建物を想定します。
前回の記事はコチラです。
地方に立つ平屋のクリニック(診療所)です。
(ツッコミどころ満載の平面プランですがあしからず・・・)
基本データ
・前面道路に水道本管・公共下水道・都市ガス完備
・従業員数:5名
・建物規模から「直接給水方式」を採用する。
配管図をかいてみよう!
【手順1】 配管図(設備図)の約束事を確認する
配管図には、建築図面と同様に約束(決まり事)があります。
これら図をもとに現場技術者は図面を読み、工事を進めます。
配管図の表記のルール
全てを暗記する必要はありません。
調べたいときに、このページを確認して頂ければ問題ありません。
これらの図面記号や凡例などを含めて、
建築設備の納まりがまとめられている書籍がこちらです。
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- 作者: 国土交通省大臣官房官庁営繕部設備・環境課,公共建築協会
- 出版社/メーカー: 公共建築協会
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- メディア: 単行本
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購入されるのも良いとおもいます。
【手順2】 建築図に配管図を書いてみます。
次に、建築図に配管図を書いてみましょう。
まずは、ざっと結んで頂ければよいです。
【Ver1:天井裏配管】
【POINT】
・メンテナンス性に考慮して、トイレ内のPSから配管を立ち上げて
天井裏に配管としました。
・PS内にバルブを付けて、点検口からバルブ操作ができるようにしました。
・万が一、水道管が漏水した時の水損を避けるために、
極力PCサーバーや電気関係の上部には配管しないよう注意しましょう。
【Ver2.外部埋設配管】
【POINT】
・配管を敷地内に埋設して配管し、給水が必要な個所付近で
建物内へ供給させた配管ルートです。
・排水配管と同じタイミングで工事をすれば、天井裏配管よりも工事価格が安価となりますが、メンテナンスや更新時に手間がかかります。
・小規模な建物で採用されることが多いです。
つづいて、配管の口径を算出しましょう。
【手順3】 配管の口径を求める
つづいて配管の口径を求めていきます。
管径を求める方法は、大きく2種類あります。
①等摩擦抵抗法
②管均等法 (概算的な結果がでるので、あまり実用的ではないとされています。)
口径を計算する前に、配管の長さを確認しておきます。
赤字が配管の長さです。
①等摩擦抵抗法
1)各器具の給水負荷を求めて、同時使用量を算定する
【設備設計基準表2-2】を参照しながら、給水負荷を選定していきます。
図に書き込んでいくと分かりやすいです。
器具 給水負荷単位
大便器(洋便器タンク式): 5
小便器(フラッシュ) : 5
手洗い器 : 1
流し台 :瞬間最大流量 25L/min
散水栓 :瞬間最大流量 20L/min
同時使用量を【設備設計基準図6-1】を参照しながら計算していきます。
配管の区間ごとで流量を求めて、合算していくようなイメージです。
これで、同時使用流量を求めることができました。
2)配管の許容摩擦抵抗を算定する
配管の許容摩擦抵抗を算定します。
POINT
水道本管の水圧は、概ね200~300kPaですが場所によっては異なる場合があるので
必ず管轄している水道課に確認しましょう。
配管許容摩擦抵抗
=200(kPa)-19.6(kPa) - 30(kPa)-5(kPa)/31.3(m)+ 31.3(m)
=145.4(kPa) / 62.6(m)
=2.322(kPa/m)
これを、配管の摩擦抵抗線図にあてて検証していきます。
配管によって抵抗線図が違うので、配管材料も合わせて確認しましょう。
今回は、硬質塩化ビニルライニング鋼管としました。
【設備設計基準 P561 図6-2】
配管口径は「25A」であることが確認できました。
(32Aとの境界ぎりぎりなので、再度計算を見直して確認したいところですが、このまま進めます。)
同様に口径を算定して
このように配管口径を計算することができました。
さいごに
今回は、「給水配菅の実施設計(直接給水方式編)2/2(全2回)」として、
配管口径を求めて実際に図面を書いてみました。
今後も「建築設備の実際やってみようシリーズ」をよろしくお願いします。
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人
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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』
★「職人」から「建築士」へ
施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。
ブログ記事の更新はsamurai architectの「 Facebookページ」にてお知らせしています。
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