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【住宅の巨匠から学ぶ美しいディテール】 堀部安嗣さんから学ぶ「屋根付加断熱を美しく納める方法」

【住宅の巨匠から学ぶ美しいディテール】

屋根付加断熱を美しく納める

今回は、巨匠から学ぶ美しいディテールというテーマで、 

「堀部安嗣」さんの手掛けた『秦野の家』について紹介させて頂きます。

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出典:https://www.facebook.com/YasushiHoribeArchitectAndAssociates/photos/pcb.1710062645702777/1710070995701942/?type=3&theater

私が注目した点は『屋根の納まり』です。

 

住環境に配慮した計画で、壁・屋根共に「付加断熱」を施した計画となっています。

 

一般的に、屋根に付加断熱を施すと、破風が厚くなり、ちょっと野暮ったい印象となりがちです。

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『秦野の家』では、そんな野暮ったくなりがちな軒先を残して、

すっきりと納めています。

日本の風景にマッチした美しい意匠です。

 

 

厚くなる軒先周りを壁と屋根を繋げるようにして解消する方法もありますが、

個人的には、軒先が出ている方が好きです。

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軒先を出さずに壁~屋根を納める例

 

住環境設計を手掛けている方は参考になると思いますので、是非参考にしてみて下さい。

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「堀部安嗣」さん」から学ぶ美しいディテール

屋根付加断熱の軒先をすっきり納める方法

以下の図が、軒先周りの納まりです。

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化粧垂木を見せることで、軒先の見付が120mm程度となりスッキリとした印象です。

しかも、付加断熱と両立させています。

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出典:https://www.facebook.com/YasushiHoribeArchitectAndAssociates/photos/pcb.1710062645702777/1710070995701942/?type=3&theater

本当堀部さんの手掛ける物件はどれも綺麗です。

 

続いて、このディテールのポイントを見ていきましょう。

 

【ポイント1】垂木を桁間に設置

垂木を桁間に落として断熱材を嵌め込むことで、化粧垂木を軒先まで通せるように工夫しています。

 

化粧垂木の見付寸法で軒先を構成できるので、破風の見付を小さくみせています。

 

【ポイント2】構造用合板の設置位置

構造用合板の設置位置もポイントです。

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断熱材の間に構造用合板を設置することで、耐久性と省エネ性を両立する試みとのことです。

野垂木に設置される断熱材は、遮熱面材付き硬質ウレタンフォーム(t60)です。

90mmの垂木に対して断熱材が60mmなので、30mmの「空気層」を確保できます。

 

下屋・窓廻りのディテールも美しい

構造用合板で耐震性もUP

下屋や窓廻りの納まりも実に美しく納められています。

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化粧垂木を見せる納まり共通しています。

前項でみた「構造用合板」の設置位置がポイントです。

 

壁面と構造用合板で続いているので、耐震性はもちろんですが

気密シートの施工性も向上していると思います。

 

高断熱住宅を計画する上で「気密性能」は重要です。

施行業者さんの施工性によっては、計画通りの性能が発揮できなくなるポイントでもあります。

 

この工法であれば、ミスを極力抑えることができると思います。

 

 

さいごに

今回は、「住宅の巨匠から学ぶ美しいディテール」として

「堀部安嗣」さんの『秦野の家』から、付加断熱をしながら美しく軒先を納める工夫について紹介させて頂きました。

 

実は、「断熱」「美しさ」が両立しているだけではありません。

「断熱」「美しさ」の他、「耐震性」「耐久性」も向上させるディテールです。

 

是非参考にしてみて下さい。

 

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

最後まで閲覧頂きまして、

ありがとうございました。m(_ _)m 

 

この記事を書いた人

 

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このブログについて 建築士の挑戦 - 『建築士 ✕(かける)』

★「職人」から「建築士」へ 

   施工現場と設計現場へ そして事務所を開設した異色の経歴を持つ建築士。

2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設。

退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。

実務以外のこと(主に遊び)は、 「建築士× (カケル)」にて。

 

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